家族信託のしくみ
家族信託
家族信託は、信頼できる家族などに財産を託すために活用される制度です。認知症などで精神力が低下すると、身近な人でも財産の整理や取り扱いに困ることがあります。信託を設定することで、家族の状況や資産家の意向を考慮し、資産の管理・活用・流通・移転の戦略を慎重に構築し、変更することが可能です。
家族信託の仕組み
- 資産の管理を任せたい人【委託者】と、資産の管理を引き受ける人【受託者】との間で信託契約を行います。
- 信託契約が成立すると委託者の資産が受託者へ移転し、信託の目的に従い受託者により資産の管理が始まります。信託財産と受託者の資産は分けて管理をします。
- 信託財産から生じる利益は、信託契約時に指定した人【受益者】に交付します。
(※通常、委託者と受益者は同一人物であるケースが多い。)
認知症になる前の対策が必要
2020年4月に施行された民法の改正により、「契約する人に意思能力がなかった場合、その契約は無効とする」と追加されました。(民法第3条の2)認知症などにより物事の判断や意思表示ができなくなってしまうと、法律行為に関わる重要な手続きができなくなります。
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家族信託は、信頼できる家族に資産を託し、託す方(委託者)の希望に基づいて、託される方(受託者)が資産を管理できます。託す方(委託者)が認知症になってからでは、家族信託はできません。
2025年には、65歳以上の認知症患者数が約700万人(65歳以上の5人に1人)に増加するというデータ(※)もあり、認知症になる前に対策しておくことが重要です。
家族信託のメリット
万が一の認知症に備えて財産管理
認知症になった場合、銀行預金の出金・送金や不動産の売却など、経済面で家族の生活に直結するような手続きができなくなります。家族信託をした資産は、託された家族が管理・運用できるので、本人が認知症になった後でも、医療費や介護費の支払いで困ることはありません。
成年後見制度を使わず親の資産管理を
判断能力をなくした方の資産を管理・処分する方法として成年後見制度がありますが、資産の有効活用や相続税対策はできません。また資産が多い方は裁判所から家族の後見人が認められないケースが多く、使い勝手の悪い面があります。
相続税対策に
認知症になるとできなくなること |
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